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ゴーレムの肩に乗ったフーケは少しばかり焦り始めていた。 宝物庫の壁が壊れない。確かに硬いと思っていたがここまでとは。 細かなヒビが入っているようだが、一向に崩れる気配が無い。 やはり強攻策に出るのはまずかったかもしれない。もうそろそろ音に気づいた教師や生徒が現れるころだろう。 だが、ここで退いては『破壊の杖』を諦めることになってしまう。 (『破壊の杖』を盗む、自分の命も守る。両方やらなくちゃならないのが「盗賊」のつらいとこね) フーケが覚悟を決め、もう一発殴ろうとゴーレムを動かしかけた時、辺りが急に暗くなる。 上を見上げるとウィンドドラゴンが飛んでいるではないか。 (早いじゃないか!) 予想よりもずっと早い敵の出現。しかもドラゴンときたもんだ。どうもこの学院とは相性が悪いらしい。 「サバス!捕まえなさい!」 姿は見えないが、ウィンドドラゴンの背中に誰か乗っているのだろう。 その誰かが「サバス」に自分を捕まえるよう指令を送っている。 とっさに思いついたのは、このウィンドドラゴンが「サバス」だということ。 急降下してそのまま自分を捕らえる気か?身構えたそのとき、横から声が聞こえる。 「お前には選ぶべき道がある!」 ありえないことだった。ゴーレムの肩に自分以外で乗っている奴がいる。 声のした方を向く。 そこにいるのは、昼間に会ったばかりの謎の「変態」! 百戦錬磨のフーケの体が固まる。 変態が口を開けると、その中から一振りの剣が出てきた。その切っ先は真っ直ぐフーケに向かっている。 「いまさらだけどおでれーた。俺をこんな風に使う『使い手』は初めてだわ」 さっきとは違う軽い口調が変態から聞こえた。 攻撃するか、逃げるか。一瞬の迷いがフーケに生まれる。 それが命取りだった。 「つかんだ」 変態がいつの間にか目の前にいる。その両手はフーケの肩を力強く押さえ込んでいた。 この時点でやっと「逃げる」という選択肢を選んだのだが、時すでに遅し。 体がピクリとも動かない。 ジリジリと仮面のような顔が近づき、口が開かれる。 「そうだ相棒!スピードは出さず!ただしッ!『万力』のような力を込めてッ!」 口の中から剣がフーケに向かって伸びてくる。 剣が自分の顔にゆっくりと刺さっていくイメージが浮かぶ。それを振り払うように、フーケは腹の底から叫んだ。 「うわああああああああああああ!!ワーーナビーーーーーーーー!!」 叫びに応えるように、ゴーレムが暴れ始める。 「ふんばれ相ぼォォォォォォ!?」 「!!」 フーケが体を捻る(といってもほとんど動かなかったが……)。 変態の口から飛び出た剣が頬をかすめて飛んでいく。剣はそのまま地上へ落下していった。 「扱い酷くねェェェーーッ?」とか聞こえた気がするが…………気のせいだろう。 問題はこの目の前の変態だ。これだけゴーレムが暴れてるのに、少しも慌てる様子がない。と。 「フガッ!」 間抜けな悲鳴を上げながら変態は突如フーケの目の前で「爆発した」。 フーケは急に体が軽くなるのを感じ、素早く後ろへ飛び間合いを作る。 「ちょっと!ルイズ!自分の使い魔を攻撃してどうするのよ!」 「ちちょっと間違えただけよ!もう一発いくわ!」 さっきよりも派手な爆音が響く。フーケが音のした方を見ると、さっきまでゴーレムで殴っていた壁から煙が上がっている。 フーケは今度は一切の迷いなく、そこへ飛び込んだ。 そこからの行動はまさに一流の盗賊といえる素早さで、目的の『破壊の杖』を見つけ出し、犯行声明を壁に刻む。 外を見るとゴーレムが炎に包まれている。 どうやらウィンドドラゴンに乗ったメイジたちは、フーケが宝物庫にすでに侵入していることに気づいていないらしい。 フーケがニヤリと笑うと、ゴーレムが歩き出す。それを追いかけてウィンドドラゴンが宝物庫から離れていく。 いろいろ予想外の展開はあったが、最終的に勝てばよかろうなのだァァァァァッ!! フーケはちょっとハイになりながら、宝物庫から飛び降りた。 ルイズたちはシルフィードに乗ったまま巨大ゴーレムの後をつけた。 その間にずっとキュルケの炎、タバサの氷柱、ルイズの爆発がゴーレムを攻撃する。 しかしそれら全てを受けてもなお、ゴーレムの進行は止まらない……。 と、急にゴーレムの足が止まる。 そしてそのまま崩れていき、後には大きな土の山だけが残った。 「…………フーケは?」 「いないわね…………」 「逃げられた」 呆然とする少女達を二つの月が見下ろしていた。 学院からちょうど馬で4時間。 フーケはあらかじめ見つけておいた小屋が見えてくると、やっと一息付いた。 追っ手が来ている気配は無い。 小屋の前に馬を繋ぐと、さっそく盗み出した『破壊の杖』を手に持ってみる。 杖というには変わった形状と、見たこともない金属。 とりあえず杖を両手でしっかり握ると、愛用の杖にするように振ってみる。 …………何も起きない。 もう一度振ってみるが、うんともすんとも言わない。 大爆発が起きるのではないかという不安と期待があったのだが、肩をすくめる。 次に関連のありそうな魔法をいくつか唱える。 唱えるたびにドキドキするが、どれも反応は無い。 フーーと深い溜息をすると『破壊の杖』を地面に置く。さすがは秘宝といわれるアイテム。そう簡単に動かないらしい。 だが、そう簡単に諦める訳にはいかない。 …そう言えば、こういうのに詳しそうなハゲが、困った時は叩いてみるのが秘訣とか言っていたのを思い出す。 試しにショックを与えるために叩いてみる。動かない。今度は踏みつけてみる。動かない。グリグリしてみる。動かない。 なじってみる。動かない。なじりながらグリグリ踏みつけてみる。動かないが、少しイイ気分になった。 だが結局『破壊の杖』に変化は見られなかった。 しかたなくフーケは『破壊の杖』を持って、小屋の中に入っていった。 さて、これからどうするか。使い方が分からないことには先に進まない。 これらのマジックアイテムに詳しい人間は誰だろうと考えて、真っ先に浮かんだのはトリステイン魔法学院のメイジたちだった。 もう一度現場に戻るのは危険だが、まだ誰もミス・ロングビルと『土くれ』のフーケを同一人物と知る者はいないだろう。 そこで何食わぬ顔で学院に戻り、フーケを見つけたと言ってこの小屋のことを教える。 オールド・オスマンの性格からして、王室には頼ることはまず無いと考えられる。すると学院内から捜索隊が組まれるはずだ。 口ばかりの教師陣からして、それ程多くは選ばれまい。2~3人程度だろう。 それぐらいの数なら、あのレベルのメイジが束になってもどうにかできる自信が、フーケにはあった。 トライアングルだなんだ言っても、実戦経験が彼らには無さすぎるのだ。 肝心のところで尻込みしてしまう。……さっきの自分自身のように。 (結局、あいつらはなんだったんだろうね) あの不気味な姿を思い出して、すこしブルーな気分になる。 あのとき、謎の爆発が無ければ自分はどうなっていたことか。 先刻の戦いで何もできなかったことは、それなりにフーケのプライドを傷つけていた。 『破壊の杖』をしまう為に、チェストを開けながら回想を続ける。 冷静になって考えれば、あれはウィンドドラゴンの上に乗っていた誰かの使い魔なのだろう。 あの謎の爆発の魔法もそうなのだろうが……あんな魔法を使えるのは一体誰だ? 深く考えながらも『破壊の杖』をチェストに置く。そして、しまおうとしたその時…… カタ! (追っ手か!) 音がしたほうに杖を向ける。 が、風によって窓が揺らされただけだと分かり、ホッと杖を下ろす。 今回の仕事は危険で奇妙な事が重なり、少し神経質になりすぎているのかもしれない。 (今夜は月が明るいねぇ) 窓から外を眺めるフーケを双月が優しく照らした。 ふと、フーケはある少女の事を思い出す。今頃元気にやっているだろうか。 月の中に彼女の笑顔が浮かぶ。 だが、雲によって月が隠れたことでその幻影も消えた。 ……少し感傷的になっている自分に思わず苦笑する。 冷静にならなくては。本当の勝負は明日だ。今は疲れを少しでも取らなくてはならない。 とりあえず今は「追跡者」は存在しないんだから………… しかし、それは大きな勘違いだった。 主の命令を聞き、愚直なまでに行動し続ける者がいた。 それは巨大なゴーレムに目もくれず、ただ盗賊の後を追い続けていた。 森の木々の影の中を、音も立てずに這いずり回る。 ブラック・サバスは小屋のすぐ側まで来ていた。目的はあの中にいる。 だが入るためには影が足りない。だから待つ。機会が来るまでひたすら待つ。 そのとき風が吹いた。小屋の窓がカタカタと鳴る。 一瞬、本当に一瞬月が雲に隠れる。 それだけで十分だった。ブラック・サバスはすでに小屋の側から、小屋の中へと侵入していた。 フーケの叫びが夜の森にこだまする。 深夜の第2ラウンドが始まった。
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ギーシュとの決闘から数日、ヴァニラは比較的安定した日常を送っていた 平民が貴族を、それも魔法とは違った力で倒したという噂は学園中に広がり 初めの日こそ無謀にも決闘を挑んだ生徒もいたが杖を消し飛ばされる者が続出し、すぐにいなくなった ついでに財布を盗られたという者もいたが確かめる勇気のある生徒は・・・・教師もだが、一人もいなかった 食事もシエスタが厨房の責任者にかけあい貴族が食べているものと同じものが供されることになり 借りを作るのを良しとしないヴァニラが初めの方こそ拒んだがコック長のマルトーは貴族嫌いらしく 彼曰く、いけ好かない貴族を負かしてくれた礼だということで受けることにした だがその生活の中にもいくつか問題点はある ひとつはギーシュ・グラモン、通称ヌケサク あの決闘でほとんど攻撃らしい攻撃を受けるまでも無く、挙句の果てに自分の作った剣で杖を弾き落とされるという不名誉な敗北を喫し 彼の貴族としての誇りは酷く傷つき、そのまま大人しくしょげ返ってれば何の問題も無いのだが 決闘を見ていた生徒の数人からもヌケサク呼ばわりされ、あろうことか再戦の機会を狙っているらしい ルイズは「また騒ぎになったらどうする気よ!?」と騒ぎ立てていたがヴァニラは「その根性だけは褒めてやってもいい」と評価を改めた もちろん絶対に負けないという自負の上での発言であろう そしてもうひとつ これが一番重要な問題であったがルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ヴァニラの自称・ご主人様 ヴァニラが彼女に従っている唯一にして最上の理由は元に戻る方法を探すこと だがそれが叶えられる望みが非常に薄いことを知ってしまった ギーシュとの決闘の次の日、ルイズの授業に付き合わされたヴァニラは面倒臭そうな顔で階段に腰を下ろしていた 講堂のような造りになった教室の最下段にたった教師が何か話しているがヴァニラはそれを聞き流しながら今頃ジョースター一行を討ち果 たしているであろうDIOのことを考え、僅か二日で何度目かも覚えていない望郷の念に苛まれていた その時教師であるミス・シュヴールズはルイズをダシに調子こいた二年坊に上下関係を叩き込もうとしていたが致命的なミスを犯そうとし ている事に気づいていない それは 「ミス・ヴァリエール、前に出てこの石ころを望む金属に錬金してごらんなさい」 その瞬間、教室中に緊張が走るッ! それはさながらどこかの高校生が髪型を馬鹿にされた瞬間の女子生徒ッ!! 只ならぬ気配を察知したヴァニラが顔を上げた時にはルイズがゆっくりと教壇に向かい、クラスメイトたちが呪詛や罵倒の言葉を口々に叫 びながら机の下に潜り込んでいる最中だった 状況が掴めず訝しそうに眉を顰めるヴァニラを他所に、ルイズを向かいいれたシュヴールズはにっこりとルイズに笑いかけた 「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」 その言葉にこくりと頷いて、ルイズは手に持った杖を振り上げた すっかり避難が完了した生徒達の何人かは未だに階段に座ったままのヴァニラに気づき「かわいそうだけどあしたの朝にはお肉屋さんの店 先にならぶ運命なのね」といった感じの哀れむような視線を送る・・・・送るだけで何も言わなかったが 「・・・・・・」 一方のヴァニラはルイズが魔法を使ったところをまだ一度も見たことが無いのでどの程度の実力なのか見極めようと観察する気満々ッ それにしてもこのヴァニラ、ノリノリである ルイズは目を瞑り、短くルーンを唱え、杖を振り下ろし そしてその瞬間、机ごと石ころは爆発した 爆風をモロに受け、リズとシュヴールズは黒板に叩きつけられた 彼方此方から悲鳴が上がり、爆発に驚いた使い魔たちが騒ぎ出したが問題は砕け散った石ころの破片ッ!! 加速度的に広がる破片はさながら榴弾砲の如く飛び散り、椅子や机に容赦なく減り込む 「何ィィィッ!?」 咄嗟に亜空間に逃れようとするヴァニラだが突然のことに対応が遅れ足や肩に数発喰らってしまった 爆発の余波が収まった頃に漸く亜空間から顔を覗かせたヴァニラが見たのは煤で真っ黒になったルイズがむくりと立ち上がり、阿鼻叫喚の 教室を意に介した風も無く、顔に付いた煤を取り出したハンカチで拭きながら、淡々といった瞬間だった 「ちょっと失敗したみたいね」 この日、ヴァニラは『ゼロ』の意味を知り、帰る望みを半分以上、捨てた To Be Continued...
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ミス・ロングビルの尊い犠牲によって破壊の杖は破壊され、土くれのフーケは撃退された 破壊の杖の奪還、土くれのフーケの討伐という任務には失敗したルイズ達だったが、 この結果で一応の体裁は取り繕うこと出来る為、まずは良しとされた 今日はトリスティンの王女アンリエッタ姫が隣国ゲルマニア訪問の帰りにこの学院に立ち寄った為、授業が全て中止された そのせいかどうかは知らないがルイズは暇を持て余しているらしく自室でデルフリンガーを相手に話をしている 「娘っ子、お前の使い魔いつでもどこでも真っ先に死ぬってホントかよ」 「ええ、そうよ、私が召喚すれば生き返るけどね」 「何で腰に差してるだけの剣にオレが使われるんだよ」 「他の剣が全部折れちゃったんだから仕方が無いじゃない」 「じゃ何か、おらぁ出番は無いけど巻き添えだけはきっちり喰らう立位置ってことか、おい」 「Exactry(その通りでございます)」 「それにしても綺麗に直ったわよね」 「おッ、そうだろそうだろ、あんなでっけえ爆発で吹っ飛ばされたってのによー 呼び出されてみたらキレーさっぱり直ってんだもんよ、ふっしぎだよなー」 (ディアボロと一緒に消えたものは直るってことなのかしら? そういえばこないだ割っちゃったお気に入りのティーカップまだ残ってたわよね、今度吹っ飛ばしてみようかしら) 扉がノックされる ルイズは気付いていない (もし成功したら美術品の修復とかも出来たりして) 扉がノックされる、今度は少しばかり強めに ルイズはまだ気付いていない (大きいものにも効く様なら橋とか城壁とか並みのメイジなら手も出せないものも出来たりして) 扉が叩かれる、はっきりと音を立てて ルイズはまだまだ気付いていない (生き物にも効いちゃったりしたりすると、あ、もしかしてわたしに治せないものはこの世に無いってこと) 扉が叩かれる音が弱まってきた、自信無さ気な申し訳程度の強さになっている ルイズはまだまだまだ気付いていない (とりあえず試してみましょう、上手くいったらもう誰もわたしの事をゼロだなんて呼べなくなるわ) ルイズは手を叩き自分の思いつきに感心した 扉が蹴られている、正に破れよと言わんばかりだ (わざとやってないかルイズ) 事此処に及んでやっとルイズは気が付いた様だ、ディアボロに扉を開ける様に促す ディアボロが扉に近づいた時、蝶番が壊れ扉が吹き飛んだ、同時に窓も割れた、 ついでに実の詰まったスイカを石の上に落とした様な鈍い音がした 真っ黒な頭巾を被った何者かは入ってくるなり頭巾を取りルイズの名を呼んだ 「ルイズ・フランソワーズ」 「ひ、姫殿下?!」 「聞いて欲しいお願いが有るのルイズ・フランソワーズ いいわよねだって私達お友達なんですものそうよねルイズ・フランソワーズ お友達の頼みを断るなんて意地悪な事はしないわよねルイズ・フランソワーズ 貴女がノックを無視する意地悪さんでも無い限りねルイズ・フランソワーズ」 王女の勢い(と微妙に青筋の立った顔)に押されたルイズは思わず頷いてしまった 王女の話では 今度結婚する事になったの私 相手は成り上がりの野蛮人、愛なんて欠片も無いわ でも同盟の為、国の為には仕方が無いの、ああ何て可哀想な私 アルビオンで勝利を収めつつある反乱軍がトリスティンを狙うことは分かりきっているんですもの そこで困ったことにある手紙がウェールズ王太子の元にあるの、あれが敵の手に渡ると同盟は御破算 トリスティン一国では勝てやしない、そうなると私は火炙り?縛り首?それともギロチンかしら? その手紙を戦火の真っ只中にあるアルビオンに行って取り戻して来て、お願い ということらしい 王女の話が一段落した時、 「王女殿下どうかその役目このギーシュ・ド・グラモンにも御命じ下さいます様」 入り口の影で話を聞いていたらしいギーシュが部屋に入ってきた と思うと顔を青ざめさせながら何かを指差している 指の先を追ってみるとなぜか床で寝ているディアボロが居た (ああ、そういえばこいつ決闘の後でディアボロを見るのは初めてだったわね) ギーシュが震える指を押さえてルイズの方を見て口を開く 「ルイズ、君はまさかとは思うが死体性愛の気が…」 ルイズの拳がギーシュの顔面にめり込む 「ルイズ、そうなのですか?はッ先程まで返事が無かったのももしかして」 「姫殿下ッ!そんな訳無いじゃないですか とにかく手紙の件はお任せ下さい、この命に代えましてもきっと取り戻して御覧に見せます」 アンリエッタ王女はルイズにトリスティン王家に伝わる水の指輪を手渡すと、 「これ以上の邪魔なんて野暮な事は致しませんわ、どうぞごゆっくりオホホ」な感じでそそくさと部屋を後にした 王女がが部屋を出て行った後、ギーシュを窓から外に叩き出したルイズは未だに寝転がったままのディアボロに近づいてみた 手をかざして息を確かめてみると… 「ああ、やっぱり死んでるわ」 ■今回のボスの死因 頭部打撲による脳挫傷で死亡
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現在、時間で言うなら午前三時くらいの夜 「・・・もうちょっと寝かせてくださいよ。今日は授業も用もないはずじゃ?」 「お・お・あ・り・よ!!」 またも夢の世界に戻ろうと床の上で毛布をまた被ろうとしたものの無常にも剥ぎ取られてしまいます 剥ぎ取った本人のピンクのブロンドがかった髪を寝ぼけ眼で見つめようやく覚醒したドッピオは 「我が偉大なる主人ルイズ様。このようなお時間に何用で御座いましょう?ふぁー」 そのまま起き上がって床に座りなおし用件が何か聞きます 何故か寝巻きでなく制服を着ているルイズは腰に手を当てながらも神妙に答えます 「土くれのフーケを倒しに行くわよ」 「土くれ?また決闘を引き受けたんですか?明日にしてくださいよ・・・」 毛布を取り返そうと腕を伸ばすが叩き落とされてしまいます 「フーケよフーケ!!今巷で話題の泥棒よ!!」 「何で僕たちが行くんですか?警察に行かせる事じゃないんですか?」 「・・・とりあえず後で話すわ。ついてきて」 そのまま部屋を出てしまったルイズの後を追います 途中小腹が空いたドッピオは少々食堂からパンと具材を拝借し簡易サンドイッチを作ります。数は七つほど 校門の近くまで歩くと馬車が一台現れます 「・・・ずいぶんと遅かったのですね」 さらにその中からミス・ロングビルが現れます。少なからず怒っているように思えます 「時間がないわ。行きましょう。」 ロングビルは頷き馬車は動き始める 空気の重さを感じるもドッピオはまずサンドイッチを二つほど食べるととルイズに「詳細を」と訴えかけます 「昨日、破壊の杖が盗まれたわ」 「・・・盗まれた?!」 話はこうでした 昨日の昼過ぎに1人の職員が宝物庫前の通路を歩いていると扉が何かで破壊されていたといいます それも魔法ではなく何か恐ろしく巨大な力によって破壊されていたらしく そして中には「破壊の杖頂きますbyフーケ」の文字が大きく壁に書かれていたのだといいます 「そ、そんなことが・・・ちょっと許せないですね・・・!」 (・・・さすがに元の世界に冠する手がかりだから気合が入ってるわね) 「・・・でもそれと僕たちとどういう関係が?」 「あんたが疑われたのよ」 魔法を超越している破壊力を持っているドッピオの不思議な力が疑われルイズが学園長から事情聴取されたと言う訳らしく 「まぁ、その後犯人の目撃者が現れて疑いは晴れたんだけどね」 「な、なんか僕危なかったみたいですね・・・」 「それでその後が問題なのよ・・・」 目撃者の話でフーケの隠れ家らしき場所がわかったのは良いのですが誰も破壊の杖奪還に行く気がないときたのです さらに盗まれたのは王都より保管を任されている品であり内密に取り返さないと何を言われるかわからないので 他所からの増援は見込めなく、内部で片付けるしかないのが現状なのです しかし相手は噂によると巨大なゴーレムを操り、土系統のエキスパートであるとかないとか いくら精鋭揃いの教師陣と言えど戦うのと教えるのは違うわけです 「も、もしかしてそれで「なら、戦うしかないじゃないか!!」とか言ったんじゃないですよね?」 「だ、誰かが行かなきゃ行けないでしょう!!」 「だからってそんな凶悪な魔法使い相手に生徒を向かわせる馬鹿がどこにいるんですか!!」 「あっち?」 既に見えなくなった学院を指差すルイズ 「・・・・・・」 頭が痛くなってきました。と同時に グギュルルルル・・・ 軽快なお腹の音がしました 「あ・・・」 「・・・・・」 音の主はルイズでした。夜食をとったドッピオと違いずっと何も食べてなかったからでしょうか ルイズの顔は真っ赤に染まりました。ついでにワナワナと震えています 「・・・・ッアンタの所為よ!!このバカッ!!!!」 ルイズ渾身の右ストレートが炸裂・・・しませんでした ドッピオは何か未来が不安になったのであらかじめエピタフを使っていましたので回避可能だったのです 「お、落ち着いてください!ルイズさん!」 差し出したのは作っておいたサンドイッチです。後五つほど余っていました 「・・・・っ」 恥ずかしさを紛らわせるかのようにサンドイッチを奪い食べようとしますが (・・・・ドッピオって料理が出来るのかしら?もしかして・・) さっき本人が食べていましたから食べれるものなんでしょう ですが用意しているのに三分かかっておらず適当に作ったものなんじゃないかとルイズは思い (・・・また恥を晒すよりましよ!) 意を決して食べますが 「・・・あら」 その意はすぐに間違いと気づきました 「どうですか?」 「ッ・・・ま、まあまあね」 実際に言うとこのサンドイッチはとても美味しかったのです それもそのはず、ドッピオはコック長マルトーから直伝に多い、速い、美味いの料理を多数習っていたのです このサンドイッチも直伝の内の一つです。パンが早く見つかったのでこれにしたのです 早々と一個食べ終わったルイズはすっかり落ち着いていました そんな中 「着きましたよ」 このロングビルの一言で馬車の空気は一変しました 「あそこがフーケの隠れ家と言われています」 「いかにも隠れ家って感じね」 ルイズもロングビルの横に並び観察し始めます 周りはその一軒以外には何もなく、半径5mくらい外側には木々が生い茂っています 「早速調べに行きましょう」 「まぁ待ってください」 横を通り抜けようとするルイズの肩を引き止めます 「なにするのよ」 「いきなり敵地に突貫するのは無謀だって言ってるんですよ」 「なら、どうするんです?私としては中を調べた方がいいと思うんですけど」 ドッピオは頭を捻り 「燃やすってのはどうですかね?」 「燃やしちゃうの?それだと回りに火が散ってしまうかもしれないわよ」 「・・・木とはそれなりに離れていますし回りに火が移るのは問題ないと思います」 「だったら破壊の杖は?杖だったら燃えちゃうじゃない」 「それも大丈夫です。破壊の杖が想像通りのものなら・・・」 ドッピオは以前オスマンから破壊の杖を聞いた後、形状や材質がどんなものかと聞いてみてその絵まで見せてもらいました 説明だけではあまり要領を得ませんでしたが絵を見てみるとどんな物か大体分かりました (たぶんあれはロケットランチャー、一回きりの破壊の杖・・・か) 「・・・それじゃ燃やしちゃおっか?」 「そうですね。さっさとやってしまいましょう」 「あ、あんまりオススメできないと思いますよ?破壊の杖もフーケもいなかったらどうするんですか?」 「それは目撃情報が間違ってたんですね。僕たちのせいじゃないし・・・火はどうやってつけましょうか?」 「だったら私に任せて!魔法ですぐに燃やせるわ」 「・・・今回は大丈夫なんですか?」 「大丈夫よ!錬金も何も無くただ燃やすだけって言うなら・・・」 そうしてルイズは集中しだします。ドッピオはオロオロしています ルイズは魔法を使おうとすると例外なく、いつも・・・ ドッガーーーン!! ・・・こうやって爆発するのですから 「嘘・・なんで?」 ルイズは火の玉でも出したかったんでしょうか でも結果は 「小屋が半分くらい吹っ飛んでるの?」 爆発の影響で火は結果的に回りました。爆発の影響も大きかったのでしょうか瞬時に広まりました 「・・・・ルイズさん」 「ま、まあ結果を見れば大丈夫じゃない!」 「・・・僕は破壊の杖は火に耐えられるって確かに言いましたよ」 「え、ええ」 「ですが爆発にまで耐えられる保障はありませんから」 「え?」 「・・・今の爆発でフーケが来るかもしれません。少し様子を見ましょう」 「何も起きないし来ないわねー」 「そうですねー」 構えていたものの何も起きず拍子抜けしているドッピオとルイズと裏腹にロングビルはわなわなと震えていました しばらくしても何も起きず若干お腹が空いたのでドッピオは座り込みサンドイッチを食べています ルイズも隣から手を伸ばし食べています ときおりいつ持ってきてたんだか分からないハムを取り出したドッピオはキング・クリムゾンの腕で火のところまで持っていき焼いて食べてたりしています そんなことをしているうちにドッピオはミス・ロングビルについて考え始めました 小屋を燃やすときに焦っていたりするのをみて考え付いたのが (この人もお腹が空いてるのかなー) などという変な結論でした。もちろんありえません 焦っていた理由はただ一つ。ロングビルの正体がフーケで目の前の敵二人の行動に焦っていたのです 燃やされてしまって破壊の杖は大丈夫なのだろうかと考えるフーケの思考は 「ロングビルさん」 敵のうちの一人、最重要警戒の人に話しかけられ一旦停止しました 「は、はいっ何でしょう」 「・・・食べます?」 そう言って差し出されたのはサンドイッチでした 「いえ、お気遣い無く」 「そんなこと言わずに。夜からずっとなにも食べてないでしょう?」 事実少々お腹が空いたのは事実でしたが敵からなにかを貰うのは自殺行為です まあ、向こうからしてみれば仲間のようなものなはずですが今のフーケにはそれが考えられませんでした 「・・・本当に大丈夫ですから。ですから」 貴方方で食べてください言おうとしたのにここで彼女のお腹は正直に クゥ・・・キュルル・・・ 音を鳴らしてしまいました。ちなみに人のお腹が減るとなるのは自律神経が関係しているといわれます 特に鳴らさないようにと思うと余計胃が緊張しなってしまうようになる・・・らしいです 「・・・やっぱり、お腹が減ってるんじゃないですか」 「・・・くっ」 ロングビルはこの敵たちのちょっと前のやり取りを思い出しました (・・・恥ずかしさを押さえ込むほどの味がおそらくこれにはある ・・・でもこんなところで敵の罠に引っかかるわけには・・・) 考え込んだ結果は 「・・・一つだけ頂きます」 食欲に負けてしまいました 奇妙な食事会(?)が終わるころには家につけた火も消えていました 「・・・結局フーケは現れずじまい・・・か」 「まあ、それはそれでよかったんじゃないですか? 戦わないならそれにこしたことはないですよ」 ドッピオはそう言い立ち上がりました 「少し焼け跡を調べてきますんで待っててください」 「え?じゃあ私も」 「大丈夫です。すぐに戻ってきますから」 そういいドッピオは焼け小屋に入っていきました 「・・・やっぱり中に人はいない」 適当に中を調べるドッピオでしたが一つ目にはいるものがありました 「・・・もしかしてこれ」 目の前のものは煤(すす)で汚れて真っ黒ですがこれは間違いなく 「・・・破壊の杖。ロケットランチャーみたいですね」 ドッピオは汚れを払いそれを拾いますが 「・・・これを放置したままどこかに?」 明らかに怪しいそれを手にしたときからドッピオはエピタフを発動させています そして・・・ 「ルイズさん!!」 未来に危機を感じ瞬時に主の下に戻るのでした フーケにまたとないチャンスが訪れました (ここでこの小娘をこちらで拉致すれば・・・) 使い魔であるドッピオも手が出せない。これをチャンスといわずになんと言う 「・・・・・・」 意識を集中させ、自分のゴーレムを目の前の小娘に気づかれずに作り上げていくフーケ ですが人間にある情だってもちろん彼女にもある。自分の状態に気づいて笑顔で食べ物を渡してくれた使い魔の男のことを考えると 少し、胸が痛んだ その痛みと同時に 「ルイズさん!!」 その男がいち早く異変を察知して戻ってきた 状況はすぐに分かった 「ドッピオ?何そんなに焦ってるのよ」 「後ろ!速く逃げて!」 ルイズとロングビルの後ろにゴーレムが見えている。破壊の杖を囮にした罠だったのだ 「後ろ?なっ?!」 後ろに振り返り見えたものは土で出来たゴーレムだった ゴーレムはそのままルイズを掴もうとして・・・その手は空をきった 「・・・え?」 キング・クリムゾンの腕を使った跳躍、跳躍というには速すぎる跳躍 瞬間移動のごとくルイズの目のまえに来て彼女を脇に抱えた 「ちょっと、もっとちゃんと持ちなさいよ!」 「無茶言わないでください!ロングビルさんも早く!」 ですがロングビルは動きません 「・・・ミス・ロングビル?」 驚嘆の声はルイズからでしょうか ゴーレムは間違いなく土くれのフーケのものでしょう ですがゴーレムはロングビルを攻撃せず、あまつさえその人を自らの手の上を乗せたのです 「まさか・・そんな」 「ミス・ロングビルが・・・」 「「土くれのフーケ・・・」」 10へ
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そして三度ルイズの部屋 「………マスター……バーボン」 「誰がマスターよ…」 医務室から2回も猛ダッシュかましたルイズを追って部屋に来たキュルケであったが 椅子に座り真っ白に燃え尽きているルイズを発見した……したのだが現在ヤケ酒を付き合わされる形となっている。 (まったく…ルイズを見にきたのはついでだったのにこれじゃあ本命のダーリンと話もできないじゃない) 彼女にとってギーシュとプロシュートの決闘は互いの命を賭けたものでありギーシュが死んだ事についてはあまり気にしてないらしい。 グビィ 「って瓶から直接飲むのはどうかと思うんだけど…」 どこぞの吸血鬼一歩手前の英国貴族を彷彿とさせる飲みっぷりにドン引く 「うるひゃぁ~~~い…もうほっろいてよぉ~~~」 スデに呂律が回っていない、どう見ても酔っ払いです、本当に(ry 「へっほうっていっへもへーひんがひほくをほろひてたられふむはけがらいらない」 (訳:決闘っていっても平民が貴族を殺してただで済むわけが無いじゃない) 「ふはいまのへきひんはひゅひんのへきひんなんらから ふろしゅーほがひーしゅをやったってほとはえんぶわらひのへひにんにあんのよひゅるへぇ~~」 (訳:使い魔の責任は主人の責任なんだから プロシュートがギーシュを殺ったって事は全部私の責任になんのよキュルケぇ~~) キュルケの目には何かもうルイズの頭の周辺に暗い|||線が見えている。 人これをバッド・トリップと言う 「あんふぁももっほほみなさいよ~ ほへともわらひのはけがほめないっていふのぉ~?」 (訳:あんたももっと飲みなさいよ~ それとも私の酒が飲めないっていうのぉ~?」 (マズイ…このままではルイズが潰れるより私が先に潰される!) 酒瓶片手に迫るルイズ。それを見て撤収しようと決意を決め機嫌を損ねないように優しく話しかける。 「ほ、ほら、明日はせっかくの虚無の日なんだからもう寝た方がいいわよ…ってルイズ?」 「…………zzz」 「やっと潰れたようね…」 自分の部屋に戻ろうと立ち上がるが、パンチドランカーの如く足元がおぼつかない。 「やば……!」 足をもつらせ床に向け倒れる。それだけならまだいい、問題は床にルイズが開けた酒瓶が転がっていることだったッ! キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー 「死亡」(脳挫傷) 二つ名―「微熱」 床に向け倒れながらそんな言葉が頭に浮かんだ。 ガッシィーz_ン だが、何かに腕を掴まれ頭と酒瓶2cmのところで止まり再起不能にはならなかった 「あら…ありがとダーリン♪」 「その呼び方は止めろ」 腕を掴んだ瞬間、勢い余って直触りをしそうになったのは内緒だ。 「助けてくれたお礼に貴方を私の部屋に招待したいんだけど?」 「……遠慮しておく、一服盛られるのは御免だからな」 「あら、失礼ね。…でも毒よりも凄い物があるわよ」 「……わらひのふはいまひかっへにあにあってんのよぉ~~~」 (訳:……私の使い魔に勝手に何やってんのよぉ~~~) ビクゥ! というような音が聞こえんばかりに声の方向に振り向く…がルイズは酒瓶片手に爆睡している。 「……寝言…ね」 これ以上粘ってルイズが起きては洒落にならないと考え部屋を後にする。 去り際にしっかりプロシュートへのアプローチを忘れていないあたり流石だ。 コルベールとオスマンの前にルイズが居る。 そこに、コルベールがプロシュート並みのプレッシャーを放ちながら質問をしてきた。 「質問です…貴方の使い魔が無罪か?有罪か?当ててみてください」 「ひ…一思いに有罪で…」 「NO!NO!NO!NO!NO!」 「む…無罪…?」 「NO!NO!NO!NO!NO!」 「れ、連帯責任ですかぁ~~?」 「YES!YES!YES!YES!『YES!』」 「もしかして『処刑』ですかぁーーッ!?」 そしてオスマンが顔を手で押さえながらダメ押しのように言い放つ 「YES!YES!YES!"OH MY GOD!"」 「嫌ぁぁぁぁぁあああ!」 ベッドから跳ね起き辺りを見回すが、コルベールとオスマンは居ない。 「また、嫌な夢……」 最近色んな事がありすぎて本気で死にそうだ。主に精神的な意味で。 昨日、キュルケが部屋に来た事は覚えてる…でもそこから先の記憶があまり無い 頭を捻って考えていると「くぅ」と音がした (お腹すいたー…) そう思いながらベッドから降り己の使い魔に着替えを手伝わせようとするが 「あれ…服着てる」 これもどういう事か考えているとまた「くぅ~」と音がしたのでとりあえず空腹を満たす事を優先させる事に決めた。 プロシュートを引きつれ食堂に向かうが何かが何時もと違っていた。 自分が通ると他の生徒達が悉く道を明け渡してくれる。そして目をこちらに向けようとしていない。 そりゃあ最初の頃所構わず爆発を起こしてた時はこんな事もあったけど、それはもう昔の事だ。 そして小さな声で聞こえる話声。何時もなら大体「ゼロのルイズ」であったが今日は違っていた。 「悪魔憑き」 そんな言葉がたくさん耳に入る。けれども少なくとも自分はそんな事知らない。 頭の上に「?」を浮かべながら食堂に入っていくとキュルケとタバサが先にいた。 キュルケの顔色が少し悪そうだったけど気にせず近くに座り例の如く始祖ブリミルと女王陛下にお祈りをしてから食事を始めた ――が、横で顔色悪そうにしてたキュルケは正直いって呆れている (私でも二日酔い気味なのに呂律が回らないぐらい飲んでたこいつがどうしてこうも平然としてられるのよ…) そんなキュルケの思いを無視し完食ペースで食べすすんでいく。 (うわー…あんな重そうな物よく食べれるわね…ってワインまで!? 昨日あれだけ飲んどいてまだ足りないっていうの?……恐ろしい娘ッ!…もーダメ、ギブ) 顔色をさらに悪くさせたキュルケが無言で席を立ち去るが、当のルイズは見ちゃいねーようで次々と食べ進んでいく。 しばらくして戻ってくると見事に完食を果たし満足そーにしているルイズを見てなんだか知らないけど『ムカついた』 『ムカついた』から少しシメておく事にする。というかシメる。 「ちゃんと味わっておきなさいよ。…なにしろそれが貴族として最後の食事になるかもしれないんだから」 ガシャン! 音のした方を見るとフォークを床に落としたルイズが小刻みに震えながらキリマンジャロ5万年前の雪解け水を飲んだかのよーに泣いていた。 (やりすぎたかしらね…) 一方こちら『悪魔憑き』ことプロシュート 食堂に入る前しっかりルイズから「メイジ殺したんだからご飯抜きに決まってんじゃないの!!」と言われた為暇そーにしてる。 例によって食堂入り口前に立っているが食堂に入ろうとする生徒は (何であそこに『悪魔憑き』が居るんだ…下手な事すれば年を奪われてギーシュみたいに殺される…ッ!) と思っており誰一人食堂に入れないでいた。 もっとも、『暗殺対象』『向こうから挑んできた』『目標が居るが場所が特定できず無関係の者も居る』等以外無駄な殺しはしないのであるが 彼らには知る由も無いのでこういう状況になっている。 そしてその『悪魔憑き』に遠慮なく向かっていくのはご存知ピラニ……シエスタだ! 「あ…昨日はその…助けて頂いてありがとう御座いました… でも、すいません…私なんかを助けるために大変な事になってしまって…」 心底申し訳なさそうに頭を下げるシエスタだったが 「オメーが気にする事でもねぇよ。何よりあいつらの目が気に入らなかったからな」 「目…ですか?」 「オレ達チームがボスに反逆した理由の一つがそれ…いやこいつはオメーには関係ねぇ事だったな」 「…?そういえばどうしてこんな所に立ってたんですか?」 「まぁ決闘が原因ってわけでもねぇが飯抜き食らっちまってな」 「そういう事でしたら…恩返しというわけではありませんが今度は是非いらしてください」 ギーシュの遺産(財布破棄済み)があるため断りそうになるが『恩には恩を、仇には仇を』というリゾットの流儀を思い出し―― 「世話になる」 その返事を受け真っ白な笑みをシエスタが返したが、その笑みがプロシュートにとってやけに眩しく感じられた。 (ナイスガッツ!) そして周りの生徒達もこの時ばかりは生まれて初めて平民に感謝していた。 戻る< 目次 続く
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前ページ/ゼロの使い/次ページ 二人は身分の違いも忘れ、過去の思い出を語らいながら、時に笑い、時に懐かしみ。 そんな他愛もなく、しかしほほえましい雑談を十数分ほど続けた。 「初めまして。メディル殿。」 ずっとスルーされていたが、ようやくメディルに話が振られた。 「お初にお目にかかります、姫殿下。」 「凄いわね・・・こんな素晴らしい使い魔を持っているなんて・・・」 「いえ、そんな・・・勿体無いお言葉を・・・」謙遜するルイズだが、明らかに建前だけだった。 次の瞬間、アンリエッタの表情がどこか儚げなものへと変わった。 「私・・・貴方が羨ましいわ・・・姫なんて籠の中の鳥も同然・・・」 「姫殿下、一体どうなされたのですか?」 「私、結婚することになったの。」 アンリエッタの話ではアルビオンと言う国の反乱軍が勝利を収める前に、 ゲルマニアという国(ルイズ曰くなりあがり共の野蛮な国)と同盟を結ぶべく、そこの皇帝と政略結婚をするという。 ところが、その政略結婚の障害となるものがよりにもよって全滅寸前のアルビオン王家にあるというのだ。 それはアルビオン皇太子・ウェールズに送った文だと言う。それが反乱軍の手に渡れば、直ちに公表され、同盟破棄は必定とは姫の談。 アンリエッタ自身、友人であるルイズに依頼するのは不本意だったが、他に頼むに値する実力と信頼を持ち合わせた者もおらず、まさに苦渋の決断であった。 ルイズは親友の頼みと二つ返事で引き受けた。 主であるルイズもそうだが、メディルもまたその文の内容を悟っていた。 そして、人間とはやはり哀れなものだ・・・と白面の魔術師は思った。 と、その時、部屋の鍵を魔法で開け、飛び込んで来た者が現れた。が、彼はすぐにメディルに取り押さえられた。 「ギーシュ!」 それはメディルに丸焼きにされたばかりか、ここに至るまで名前すら表示されなかったギーシュであった。 美しい姫の姿を見て、磁石に吸われる砂鉄の様にやってきたというのが本人の談。 「姫殿下、こやつの処分、いかが致しましょうか。」先程同様珍しくメディルが敬語で姫に問いかけた。 本来なら、メディルにとってアンリエッタはオスマン同様、敬意を払うべき相手ではない。 しかし、彼女がルイズの無二の友人かつ主君である以上、礼を尽くさぬわけにはいかなかった。 「あなたはグラモン元帥の末っ子ですね。」 「ご存知でしたか!」と喜びの表情を浮かべるのも束の間、 「ええ。常に女難に見舞われている貴族として、王室でも噂になっております。」 姫のあまりにもあまりな返事に、ギーシュがこれでもかと凹む。傍らではルイズがそれを見て必死に笑いをこらえていた。 「この不幸な姫の力になってくれませんか?」 無論、この女たらしが首を横に振るはずはなかった。 出発は明朝に決まり、ルイズは皇太子に渡す文を返還する旨を記した文と資金繰りに困ったとき売り払うための水のルビーを姫から受け取った。 メディルが誰かのイメージを読み取りルーラで行く事を提案したが、この中のメンバー全員、皇太子の居場所を知らぬばかりか、 ルイズとギーシュに至ってはアルビオンにすら行った事が無かった。 唯一、アンリエッタだけは行った事があるらしいが、何年も前の事ゆえ、思い出せないという。 その頃・・・ アルビオン行きの船が出る港町ラ・ロシェールのどこかの酒場・・・ 「アルビオンは終わりだ!!」 「あんな金にもならない国滅んじまえよ。」 大勢の傭兵達がアルビオン王家の中傷を肴に一杯やっていた。 そこへ一人の非常識な客が訪れた。 酒場の中に事もあろうに、馬に乗ったまま入ってきたのだから非常識以外の何者でもない。 二つの意味で驚くマスターに最高級ワインを注文し、彼は傭兵達に向き直った。 「傭兵の諸君。仕事はいらんかね?」 傭兵達の顔が青ざめた。それもその筈、そいつは髑髏の顔をしていたのだから。 「欲しくない訳じゃないが・・・か、金は・・・」 一人が震えながら言葉を紡ぐ。 髑髏の男は馬に背負わせていた鉄製の大箱を床に置いた。 「エキュー金貨で10万。足りなければ、もっと用意するがどうする?」 足りないと言う者はいなかった。箱を開けようと近付いた傭兵達の鼻面を、髑髏男のランスが掠めた。 その見事な槍捌きに彼らは関心すると同時に、更なる恐怖を抱いた。 「まだ話は終わっていない。」 注文のワインを飲み下し、彼は続けた。 「この金貨には呪いがかかっている。この金貨を手にしておきがら、仕事を放棄した奴が死ぬようにな。」 「へ・・・へへっ・・・一度請けた仕事を投げるなんて傭兵の恥はこの中には・・・」 「アルビオン王家は数に含まれないのかね?」 「うぐ・・・」その言葉を出されては黙るしかなかった。髑髏男はそんなことを気にするでもなく説明を続けた。 「・・・まあいい。とにかく引き受ける者だけ金貨を手にするがいい。ターゲットは数人のメイジ。 桃色の髪の女の一行だ。メンバーの中に鬼神の如き強さを誇るメイジがいるらしいから、こちらで武器を用意した。」 「随分用意がいいんだな・・・ところであんた・・・そのお面。」 「お面?」髑髏男が怪訝そうな声で言う。 「い・・・いや、その髑髏のお面、あまり似合ってないぜ。」 「クククク・・・これか?」 髑髏面は傭兵達の前で、それを外して見せた。 「生憎と自前だよ。」 首無し人間の手の上でしゃれこうべが喋ると言う恐怖としか言いようのない光景に哀れな数名の傭兵とマスターが気絶した。 彼らは揃って白目を剥き、口から泡を吹き、股間から悪臭漂う液体を滴らせていた。 彼は髑髏を頭に戻し、数枚の銀貨をカウンターに置いて店を去った。 「なんだ・・・ありゃあ・・・」 「あ・・・ああ・・・悪霊だ・・・アルビオンの悪霊だ・・・」 「ど・・・どうする・・・?俺ら呪い殺されるんじゃ・・・」 「じょ・・・上等じゃねぇか・・・悪霊だろうが死神だろうが、 メイジ数人殺すだけで10万なんてボロい商売・・・見逃せるかってんだ。」 口では強がっていたが、その男の股間もかすかに湿っていた。 酒場の外では傭兵達の為に用意された武器が、2つの月光を浴びて鈍く光っていた。 噂では、その後、とある山賊の一団の前にも、馬に乗った死神が現れ、大金と引き換えにメイジの暗殺を依頼したと言う。 翌日、ルイズ達は意外な人物に出会った。 獅子と鳥を混ぜたような外見のグリフォンを操り、全身から涼やかな、それでいて強力なオーラを放つ彼は魔法衛士隊グリフォン隊隊長・ワルド子爵だった。 何の因果かこの男、ルイズの婚約者だと言うのだ。彼曰く、姫に言われて助太刀に現れたとの事。 ちなみに、彼もアルビオンへ行くのは初めてという。 港町ラ・ロシェールへと続く山道をグリフォンと馬で進む道中、山賊の一団の襲撃を受けた。 メディルはメンバーの実力を図るべく、物陰に隠れ敢えて手出しをしなかった。 ワルドはその肩書きに違わぬ杖捌きと強力な風の魔法で次々と華麗に賊を蹴散らした。 ルイズはいつものように失敗魔法の爆発で応戦。狙いが荒いが、威力は申し分ない。 しかし、ギーシュときたらまるで役に立たず、作り出した青銅のゴーレムも山賊の鉄の武器の前にあっさりと砕かれてしまったのだ。 その後はただただ逃げるばかりであった。 メディルの中でいざと言うときの捨て駒候補第1位にギーシュが選ばれたのは言うまでもなかった。 しかし、敵もさるもので、山賊とは思えぬ不屈の闘志で、人数にものを言わせ襲ってきた。 メディル達が知る由もなかったが、彼らが誰一人として逃げないのは呪われているからである。 メディルが大呪文の一つでも見舞おうとしたその時、山賊たちに上空から火炎と烈風が襲い掛かった。 同時に、ルイズが不機嫌そうな顔をした。 それもその筈。上空から現れたのはヴァリエール家の、ルイズの怨敵であり、本作において、 ギーシュ以上に存在感の薄かったキュルケと、その親友にして、ここまで一言も触れられなかったタバサだったからだ。 曰く、良い男(ワルド)目当てで、親友の風竜で追っかけてきたとか。 キュルケの参入でやかましくなったものの、一同は何とか宿に着いた。 「船は既に姫殿下が手配してくれている。明日の朝にはアルビオンへ出発出来るだろう。」 「そうか。しかし、ワルド殿、どうしても解せぬことがある。」 「何だね?」 「何故、このような山の上に船があるのだ?」と異世界の者ならば誰でも口にするであろう疑問を投げかけるメディル。 「ああ、それはアルビオンが浮遊大陸で、そこへ行くのに飛行船を使うからさ。」 「なるほど。」 「あまり驚かないのだな。」 「月が二つもあるような世界だしな。」これは彼の本心だった。 「そういえば君は異界から来たのだったな。」 「ああ。と言っても世界観に言うほどの差はないのだが。」 「同じような世界なの?」 「ああ。剣と魔法が支配する世界だ。わが主はその世界を」 言いかけてメディルはルイズを突き飛ばした。怒ろうとしたルイズだが、先程自分のいた所を鉄の塊が通るのを見て言葉を呑んだ。 「敵襲だ!!」 ワルドが叫ぶと、その場の全員が戦闘体勢に入った。 「撃て撃て!!メイジのクソガキ共をぶっ飛ばせ!!」 百人ほどの傭兵達が「女神の杵」亭を包囲していた。 そして対メディル用に受け取った、車輪付き大砲10門に山のようにある砲弾を込め、次から次へと撃ちまくった。 「矢も弾も惜しむな!!呪いで死にたくなけりゃ撃ちまくれ!!」 「このままじゃ宿が持たないぞ。」とギーシュ。 「雑魚が・・・大砲如きで、私を討ち取ろうなどとは・・・」 外の傭兵に向け、最強即死呪文ザラキーマを発動しようとするメディルをワルドが制す。 「民間人を巻き込みかねない大呪文は控えるんだ。この任務の場合、僕と君とルイズが船に辿り着ければいいんだ。」 「つまり・・・キュルケたちは囮・・・?」 「ま、仕方ないかな。あたしたち、アルビオンへ行く目的知らないし。」 「右に同じ。」 「ぼ、僕は・・・」 「「「お前(君・あんた)は捨て駒確定。」」」 「やっぱり・・・」 前ページ/ゼロの使い/次ページ
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トリステインの城下町を、ルイズと、それに続いてDIOが歩いていた。 白い石造りの街はそれなりに綺麗ではあったが、魔法学院に比べると、質素ななりの人間の方が多い。 道端で声を張り上げて様々なものを売る商人達の姿や、老若男女が取り混ぜ歩いている様子は、元の世界のエジプトを思わせる。 DIOはほんの少しだけ感慨に耽った。 町の様子を見る限りでは、この世界の文化レベルは、DIOが若かった頃と同じか、それ以下らしい。 少なくとも車は走っていないようだ。 「『ブルドンネ街』。トリステインで一番大きな通りよ」 「…狭いな」 道幅は5メイルもなく、大勢の人が行き来しているので、歩くのも一苦労だ。 道行く人と時々肩をぶつからせ、DIOはもどかしそうに呟いた。 「狭いって……文句をいわれても困るわ。 そう言えば、あなたの世界はどうだったの?」 ルイズはトリステイン自慢の城下町に文句を付けられて、眉をひそめたが、ふと思いついたのか、尋ねてみた。 「道はここよりもだいぶ広いが、その分だけ人間が多い。 人口密度でいえば、寧ろ私の世界の方が高いかもな」 「は? でもあんたさっき狭いって……」 「別に人が多いからといって、そんな事は私の通行には関係ない……」 「ふぅ~ん?」 含みを持たせたようなDIOの言葉に、ルイズは首を傾げたが、どうでもよかったので直ぐに再び前を向いた。 ルイズの話によると、この界隈には魔法を使うスリが出るらしい。 魔法を使うのは貴族だけなのではないのかとDIOが聞くと、メイジの全てが貴族というわけではないらしい。 いろいろな事情で、勘当されたり家を捨てたりした貴族の次男や三男坊などが、身をやつして傭兵や犯罪者になる例は少なくないのだそうだ。 つらつらと貴族のお家事情を話していたルイズだったが、曲がり角で立ち止まり、さらに狭い路地裏へと入っていった。 悪臭が漂い、ゴミや汚物が道端に転がっていて、どうみても貴族はお呼びではない所だ。 DIOは顔をしかめた。 「あっ、あったわ」 ルイズは四辻に出て、剣の形をした看板が下がっている店を見つけると、ルイズはうれしそうに呟いた。 そこがどうやら武器屋であるらしかった。 店にはいると、昼間だというのに薄暗く、ランプの明かりが灯っていた。 最近どうも日光が苦手になっているルイズには、かえって有り難かった。 壁や棚に、所狭しと剣や槍が並べられ、甲冑も飾ってあった。 店の奥でパイプを加えていたオヤジが、入ってきたルイズを胡散臭げに見つめたが、紐タイに留めに描かれた貴族の印に気づくと、パイプをはなし、ドスの利いた声を出した。 「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目を付けられるようなことなんか、これっぽちもありませんや」 「客よ」 ルイズは腕を組んだ。 「こりゃおったまげた。貴族が剣を!おったまげた!」 からかうような口調でいうオヤジに、ルイズはムッとした。 「どうしてかしら?」 「いえ、お嬢様。坊主は聖具を振る。兵隊は剣を振る。貴族は杖を振る。そして陛下はバルコニーからお手をお振りになると、相場は決まっておりますんで…」 「あら、振って欲しいのかしら?」 ルイズは懐から杖をちらつかせた。 「め、滅相もございませんで…」 オヤジは取り繕うように言った。 ルイズは杖を仕舞って言った。 「使うのは私じゃなくて、使い魔よ」 「忘れておりました。昨今は貴族の使い魔も、剣を振るようで」 オヤジは商売っ気と、ルイズの顔色を伺うように、お愛想を言ってから、DIOをじろりと見た。 DIOがその赤い眼で見返すと、オヤジは怯えたように、慌てて目をそらした。 「け、剣をお使いになるのは…この方で?」 ルイズは首を振った。 「使うのは確かにそいつだけど、買うのは剣じゃなくて、ナイフよ。」 オヤジはばつが悪そうにうなった。 「はぁ…申し訳ありませんが、今ナイフは数があまりなくて…10本ばかりしかありませんで、へぇ」 「あら…そうなの? 困ったわね…どうしようかしら」 ルイズは予想外の返答に閉口した。 ここで100本ほどまとめ買いするつもりだったのだ。 早くも目的の一つが頓挫したことになる。 どうしよう…と悩むルイズに、オヤジが提案した。 「では、ナイフに加えて、剣も一本見繕うというのはどうでしょうか? 値段は勉強しておきますが…」 値段もまけてもらえると聞いて、ルイズはオヤジの提案を受け入れることにした。 「そうね、別に手持ち無沙汰って訳じゃないから、そうするわ。私は剣のことなんかわからないから、適当に選んでちょうだい。 値段はどうでもいいから」 オヤジはいそいそと奥の倉庫に消えた。 彼は2人に聞こえないように、小声で呟いた。 「やれやれ、どちらもどちらで、おっかねぇ。 こりゃ、早めにお帰り願った方が吉ってやつだ」 しかし、さっきの口振りからすると、随分と羽振りは良いようである。 オヤジは商売根性剥き出しに、ぼったくってみることにした。 立派な剣を、油布で拭きながら、オヤジは現れた。 「これなんか、いかがです?」 1・5メイルはあろうかという、見事な大剣だった。 所々に宝石が散りばめられていて、鏡のように諸刃の刀身が光っている。 頑丈そうだ。 「店一番の業物でさ。 貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものですな。 やっこさんの体格なら、ピッタリですぜ」 DIOは興味がないのか、店の中を見ているだけなので、かわりにルイズが剣を見た。 ルイズはこれで良いだろうと思った。 店一番とオヤジが太鼓判を押したのも気に入った。 おそらくソレは本当だろう。 …後は、向こうがどれだけふっかけてくるかである。 (…気づいてるのよ、このスカタン!) ルイズは心の中で呟いた。 オヤジの愛想笑いの下にある、ドロドロした商売根性を、ルイズは敏感に感じていた。 ルイズはそんな事は全く臆面にも出さずに、値段を聞いた。 「おいくら?」 「何せこいつを鍛えたのは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。 魔法がかかっておりますから、鉄だって一刀両断でさ。 ごらんなさい、ここに名前が刻まれているでしょう? おやすかぁありませんぜ」 質問に質問で返してくるオヤジにいらつきながらも、ルイズはどうでもよさげに言い放った。 「お・い・く・ら?」 オヤジはムッとしつつも値段を告げた。 「エキュー金貨で二千。新金貨なら三千」 (そらきた!) ルイズは心の中でペッと唾を吐いた。 エキュー金貨で二千? 庭付きの豪邸が買える額だ。 いくらゲルマニアのシュペー卿だかカペー朝だかが鍛えたといっても、そこまでするはずがない。 というか、そもそもこんなボロ店が、そんな額の剣を仕入れられる訳がない。 明らかにぼったくりだ。 ルイズはふぅとため息をつくと、姉のカトレアが言っていたことを思い返した。 ―――カトレアから――― こういった庶民が利用する店では、貴族の常識はまったく通用しないわ……というのも、値段がすごくいい加減なの。 日常の値打ちを知らない貴族なんかは、いったいいくらなのか見当もつかないから、すごくカモられてしまうの。 …で…もね、ルイズ。 その世界では、カモることは悪いことじゃないのよ。 だまされて、買ってしまう人がヌケサクなの。 ここで、買い物の仕方を解説するわ。 例えば―――この場合、私はお見通しだよん! という態度をとって 「エキュー金貨で二千?カッカッカッカバカにしちゃあいかんよ君ィー。 高い高いー!」 ……と、大声で笑うの。 すると 「いくらなら買うね?」 ……と、客に決めさせようと探ってくるわ。 「ナイフ込みで、五百エキュー金貨にしなさい!」 自分でもこんなに安く言っちゃって悪いなぁ~~というくらいの値を言う。 すると 「オッほっほっほっほっほ~っ」 本気(マジ)~~? 常識あんの~~? と、人を小バカにした態度で 「そんな値で売ってたら、わたしの家族全員飢え死にだもんねーーっ!」 ギィーッと首をカッ切る真似をしてくるの…。 でもね、ルイズ! ここで気負けしちゃダメよ。 「そ。じゃあ買うのやめたわ」 帰るマネをしてみましょう。 「O.K.フレンド。わたし貴族に親切ね。 ナイフ込みで、千八百エキューにするね」 …といって引き止めてくるわ。 「七百エキューにしなさいよ」 ―――値段交渉開始ーッ! ――― 「千七百!」 「八百!」 「千五百!」 「千!」 …………中略 「「千二百五十!」」 「千二百五十! 買ったッ!」 やったーっ! 四割近くまけてやったわ! ざまーみろ! モーケタモーケタ! (ニコニコ) ………と思っていると 「バイバイサンキューねっ!(いつもは千百で売ってるもんねベロベロベー)」 ちなみに、平民が一年で消費する金額の平均は、百エキューである。 「……………………… ……やれやれだな」 DIOの呆れた呟きは、2人に届かないまま虚空に響いた。 to be continued…… 31へ
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今北用 ゼロのソウスケ・サガラ(またはゼロの傭兵)とは 「もしも『ゼロの使い魔』で才人ではなく宗介が呼ばれたら」 を具現化した物語です 相良宗介フルメタル・パニック!シリーズの主人公。 とある機関の軍曹。 たいそうな軍事バカだが、その腕は超一流。 とある人物を保護するために日本に滞在しているが、遠く離れた地での任務にも赴くこともある。 現代社会に微妙に適応できておらず、ゲタ箱を爆破したりしてしまうことも。 口調や性格は機械的だが、時折人間らしい一面を見せることもある。 冗談を冗談と見抜けない子。お色気作戦に弱い? いつも「どこにそれだけのモノを持ってたの?」と疑問に思うほど大量の武器を持ち歩いている。 ルイズ ゼロの使い魔シリーズのヒロイン。 高名な貴族の家系に生まれ、魔法学校に通っているものの全く魔法が使えないという理由で周りからバカにされている。 二つ名は『ゼロのルイズ』で、このゼロは「魔法成功率0%」が由来。 典型的ツンデレ、かつ貧乳という属性で数々のファンのハートを鷲掴みにしている。 今回はルーンなんかなくてもガンダールヴな傭兵となにやらいいふいんき(なぜかry)に?
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橋沢育郎、17歳。 彼は半年前まで、ただの高校生だった。 だがあの日、家族旅行で交通事故にあったあの日から彼の人生は一変した。 秘密結社ドレス 彼の体に何らかの処置を施し、恐ろしい力を与えた存在。 生物兵器、サイボーグ、超能力者…それまで現実に存在しているとは思いもよらなかった存在が、 ドレスの命で彼に襲い掛かってきた。 たった数日の事である。 故に彼はある程度非常識な事に耐性があった、しかし 「つまり…ここは地球じゃなく、魔法使いが住んでいる国という事か…」 非常識にも程がある そう思わずにはいられない育郎であった。 「それ、本当なの?あんたが異世界から来たって」 目の前のピンク色の髪をした少女が胡散臭げに口を開く。 彼女の名前はルイズ、魔法を使える一族、すなわちこの世界の支配者階級である貴族であり、 育郎を『召喚』して、この世界に連れてきたと言っている少女である。 「信じろって言っても難しいだろうね、僕だってあの月がなければまだ半信半疑だったと思う」 窓の外に浮かぶ、2つの月を(今夜何度目なるだろう?)見て答える。 召喚された後、目の前の少女と会話をしてわかったことは、ここが剣と魔法…もとい、魔法が支配する ファンタジーな世界であり、自分はこの少女の『使い魔』として『召喚』されたという事。 彼女曰く、使い魔とはッ! ひとつ、素敵なり! ふたつ、決して主人の命に逆らわず! みっつ、決して主人のそばを離れない! よっつ、あらゆる敵から主人を守り、しかも敵の能力を上回る! そしてその姿は主人(ルイズ)のように美しさを基本形とする。 「そんな使い魔を求めてたってのに、なんであんたみたいな平民が出てくるのよ!」 「そんな事を言われても…」 「しかも異世界って何よ、異世界って!ファンタジーやメルヘンじゃないんだから!」 「僕から見れば、この世界がファンタジーやメルヘンなんだけど… ひょっとして他に、鏡の中の世界なんてのもあるのかもね」 「あるわけないでしょ!」 あるよ とにかく育郎の方でも、自分がこの世界の住人ではなく、魔法が存在しない…とこの数日の経験から 言い切れなくなったが、その話をするとややこしくなるので、とにかく魔法が存在しない世界から来たと伝えた。 しかし自分同様、異世界から来たという話をほいほい信じるわけもなく、今もこうやって、彼女は疑惑の視線を 自分に向けているというというわけだ。 「それで…『使い魔』だっけ?僕を元の場所に戻す魔法はなんてのは」 「ないわよ!というか戻せる者ならとっとと戻して、とっくに新しい使い魔呼んでるわ!」 この少女、先程からとにかく怒鳴りまくっている。 (でも、しかたないか…) 一方的に呼び出されて怒鳴られながらも、育郎はそう考えた。 なにせ話を聞いてみると、『使い魔』の『召喚』はとても神聖なもので、呼びされる使い魔が、その魔法使いの人生を 決めると言っても過言ではないとまで言われているらしいのだ。 「どうして?何で?よりによってこのアタシの使い魔が平民なのよ!」 「ごめんね」 「へ?」 予想外の言葉に、今日一日全開だった怒りゲージがゼロになる。 「えーと、今なんて?」 「すまない…どうやら君に迷惑をかけてしまったようだ」 これはどういうことだろう? 混乱する頭でルイズは考える。 自分が怒鳴っている事は、はっきり言ってただの八つ当たりである。理不尽極まりない。 この平民が反抗しようものならムチを一振り 口で(そんなはしたない事言えないわ!)をたれる前と後ろにサーをつけろ! 等といってネチネチいびり倒し、ストレスを解消するつもりだったのに。 しかし今、目の前の平民の口から出た言葉は何? ごめんなさい ひょっとして謝っている? いや、待て、素数を数えて落ち着くのよルイズ…ゼロ、ゼロ、ゼロ 誰がゼロよ!ていうか素数じゃないし! それはともかく 相手は平民、つまり貴族たる私には絶対服従。 何もおかしい事はない、おかしい事はないのだが… (なんか、何時もと違うような…) 平民が貴族に謝る時はかならず脅えなり、反抗なりの感情が見えるはずだ。 しかし目の前の平民は、脅えも反抗もなく、ただ自分の非を認めて(そんなものないのだが)謝っている。 「どうかしたのかい?」 「え?ああ、うん…つ、使い魔としての心構えは良いようね、寛大な心で許してあげるわ」 無理やりそう思い、思考を目の前の現実に戻す。 「それで…どうしてもその…君の使い魔にならなきゃ駄目かい?」 「…当たり前よ」 使い魔の召喚はやり直しは聞かないのである、使い魔が死ねば新たな使い魔を償還できるようになるが、 さすがにそんなことをやる気にはならない。 「そうか…」 育郎は、自分のことを考えてみた。 自分の父と母は交通事故で(正確には違うのだが)死んでいる。 他に家族は居ないが、友人達は自分を心配しているかもしれない。 そして彼がなによりも気がかりなのは、ドレスから一緒に逃げ出したスミレという少女の事である。 目の前の少女より一回り小さく、歳も…確かまだ9歳のはずだ。 予知能力を持っていたせいでドレスに捕まり、ひょんなことから捕らわれた自分を解放してくれたのである。 最後のあの時、彼女はあの爆発から逃げ出せたのだろうか? 無事だとしたら自分のことをさぞ心配しているだろう… そして、彼は決心して口を開いた。 「わかった、君の使い魔になろう…けど、できればだけど、僕を元の世界に返す手段を探してくれないか?」 「…できればね、わたしだって平民の使い魔なんてごめんだもの。」 で、あんたが出来そうな事って…」 「え、なんだい?」 「主の目となり耳となり…駄目ね、なにも見えない。後は…」 一人でブツブツと続けるルイズ。 「だから何が」 「アンタが使い魔として出来る事よ!無理だと思うけど、一応聞いてみるわよ。秘薬を見つける事って」 「秘薬?」 「やっぱり無理ね…となると後は一番重要なことなんだけど…主人を守る事。でもアンタじゃ無理ね。 犬ぐらいには勝てそうだけど、幻獣はもちろん、並みのモンスターにだって勝てそうにないもの」 「………」 自分の身体に宿る力を使えば、おそらく彼女の言う幻獣やモンスターを倒す事などたやすいだろう。 そして多分魔法使いにも…自分が闘った巨漢の超能力者ぐらいの力がなければ相手になりはしない。 「…そうだね」 だが、あえてその事を言うつもりはなかった。 自分の中に眠る力を使えば、スミレのように、この少女に迷惑をかけてしまうかもしれない。 ここが魔法の世界でも、住んでいるのは人間なのだ、ドレスのような組織が自分を狙ってこないとは言い切れない。 「だから、あんたに出来そうな事をやらせてあげる。洗濯、掃除、その他雑用」 「わかった。得意とは言えないけど、頑張ってみるよ」 「うむ、素直でよろしい。じゃあ眠くなったからあたしは寝るわね。ほい、あんたの毛布」 ボロボロの毛布を投げてよこす。 「ありがとう」 「あ、そうそう、あと…」 もぞもぞと自分の服を脱いでいく。 「じゃあ、これ、明日になったら洗濯しといて」 顔色一つ変えずに、ルイズが無造作投げてよこした服や下着をまとめて適当なところに置く育郎。 「うん、それじゃあおやすみ」 「はいはい、おやすみ」 ルイズはベッドに、育郎は床の上で毛布にくるまる。 こうして、橋沢育郎の記念すべき使い魔生活第一日目は終わりを迎えたのであった。 ちなみに 彼が目の前でルイズが服を脱ぐ事に何も反応しなかったのは…ルイズが知れば怒り狂っただろう… 彼女を小学校高学年ぐらいだと思い込んでいたためである。 「洗濯もしないお嫁さんなんて最低よね」 一方そのころ、育郎が心配していた少女スミレは誰言うことなく、そんな言葉をつぶやいていた。
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蒼いドールと翠のドールが深い闇へと落ちていく。 その先には、突然現れた光る鏡のようなもの。 鏡の中の鏡。それに蒼いドールは飲み込まれていく。 ゼロの使い魔~緑と蒼の使い魔~ [第一章 ゼロの使い魔] 第一話 召喚 その日、ルイズは召喚の儀を行い、毎度お馴染みの爆発が起こった。 爆発したのでルイズは失敗したのだと思い即座にもう一度行う。他の誰にも気付かれないように素早くもう一度。そしてもう一度爆発する。 こうなると周りの生徒達は、ルイズが失敗したと確信し、誰だってそうするようにからかっていた。 …しかし、煙の中には人影みたいなものがあったのだ。 ルイズは喜んで煙の中に駆け込んでいった。 「やった!成功したわ!」 生徒達は各々ざわめきだす。 「ば、馬鹿なッ!ルイズが成功した。そんなはずはッ!」「落ち着け。メイジはうろたえなィィィィ!!」「素数を数えて落ち着くんだ。」 ルイズが魔法を成功させるということは、普段失敗を目の当たりにしている生徒達にとって、とてつもない衝撃なのである。 そんな生徒達を無視し、ルイズは己が召喚したものに近づき呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」 と。 そして接吻をしようとした。 だが、よく見ると二体いるのだ。もちろん召喚されたものが。 一方、召喚された蒼いドール、ショートカットでいやらしい帽子を被っているボーイッシュ、つまるところは蒼星石である…は、召喚された際に通常の状態に戻っていたのである。 ローザミスティカは失っているのに動いている。ルイズに召喚されるにあたっての効能であろうか。まさにファンタジーやメルヘンの世界なのだ。 そして煙の中で、自分が抱きついている緑色がぼんやりと見える。 此処が異世界であると気付いてはいないのだが、緑色、翠星石が一緒であると言うことに、正常に戻った蒼星石はギュッと強く抱きなおす。 (なんだか硬いなぁ…。) そう思い、よく見てみると大きい。男性一人分の大きさだ。しかも何だか飛蝗みたいだ。 蒼星石は驚いて離れようとするが、石に躓いて尻餅をついてしまう。 「あの…抱きついたりして、ごめんなさい。」 少しばかり恥じながら、申し訳なさそうに蒼星石は謝った。 ルイズはその光景を見ていた。 口付けをしようとしたら、二体いたのだ。暫し戸惑っていると蒼色の方が飛びのいて、尻餅をつき、謝っている。 蒼いほうはどう見ても小さい子である。しかし、緑色のほうは何だか強そうな亜人だ。 ルイズは心の中でガッツポーズをした。 その頃には煙も晴れて、無事成功したかと心配して、コルベールがやってきた。 コルベールは二体召喚されたという前例のない事態に驚き、とりあえず両方とも契約させるべきかな…と思い、ルイズに契約を二体ともするように促した。 言われたことに従ってルイズは契約を済ませようとする。 まずは練習がてらに蒼い小さい方に口付けをした。蒼い方は何だか戸惑っているようだった。 (こっちはあんまり役にたたなそうね。身の回りの世話でもやってもらおうかしら。) 「あぁぁぁぁ…あうぅぅ…うぅぅ…」 蒼いほうがルーンを刻まれるにあたって起こる熱に、悲鳴をあげていた。勿論我慢しようと心がけているのだが。 次は緑色の亜人だ。蒼星石を相手にせず、ルイズは緑色に近づく。その緑色と契約するのが楽しみで、蒼星石はアウトオブ眼中である。 ここで少しばかり時間は前後する。 緑色の亜人、ご存知我らの矢車の兄貴は、影山の亡骸と供に白夜の世界に向かおうとしていた。 その途中、目の前に謎の鏡のようなものが現れる。 ワームの類かと思い、矢車はゼクターを装着し、変身する。 …CHANGE KICK HOPPER!! 電子音が響く。白夜の世界に向かうのを邪魔するヤツは倒す。 その勢いで蹴りを繰り出すキックホッパー。しかし輝きに飲み込まれてしまった。 そして辿りついたこの世界。気付いたら小さい子に抱きつかれてて、そんでもって謝られる。 次にピンク髪の女の子が小さい子に急にキスをするという光景に。そこで害はないと思ったのか、変身を解く。 驚いたのはルイズだった。さっきまで緑色の亜人だったのが、黒いロングコートを着たただの平民に変わってしまったからだ。 暫し考え、きっと風の先住魔法か何かだろうと思い、ルイズは更に喜び、最高にハイってヤツになる。 そうしてその流れに乗ったまま接吻をする。ルイズはルンルンである。 (さっきは子供、今度は亜人だからファースト・キスにはカウントされないわ!) ズキュゥゥゥゥゥゥン!! (遂にやったわよ!本当に凄い当たりくじ、これで少しは見返してやれるわ。) 当然ルーンが刻まれることによって起きる熱に苦しむ。 「それはルーンが刻まれているだけよ。すぐに終わるわ。」 蒼星石のときにはかけなかった言葉をかける。 痛みが納まり、ルイズのほうを一体何なんだと見る矢車。それに対してなんともないという風に見返して尋ねる。 「あなたの名前は?」 矢車は流れがよくわからなく、面倒だったがとりあえず答えておいた。これぞルーンの洗脳効果である! 「………矢車、矢車想だ。…どうせ俺なんて……。」 to be continued…